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【FAIR】「かくおばけ3」開催記念 選書フェア




工藤玲音(くどうれいん)の第一歌集『水中で口笛』(左右社)が4月に、延期している間にも、芥川賞候補にもあがった『氷柱の声』(講談社)が7月、そして童話『プンスカジャム』(福音館書店)が9月に刊行されました。

そこで三冊の刊行記念として、定番となりつつある企画「かくおばけ」の第三弾を開催。

に、あわせて登壇者のくどうれいん、磯貝依里、生湯葉シホの三名に選書(とコメント)をいただき、オンライン上でフェアを展開いたします。



ぜひ著作とあわせて、手にとっていただけましたら幸いです。



くどうれいんの選書



「キュートで真顔、切実なのにおおざっぱ。句集をあまり読んだことがない人にもおすすめの句集です。」


くどうがすきな5句

冬めくや眉毛の中にあるほくろ

いい葱はコンソメで煮るまだ泣くよ

ポインセチア私の階段へようこそ

千両がつやつや午後を早送り

口角を戻す初雪なのだった



「労働と日々の中で「おっ」と中腰になってしまうような出来事を上手くとらえている句集。ドラマと疲弊が混在していて、それがどうしようもなく、わかる。」


くどうがすきな5句

さやけしやパントマイムにいつも壁

冷奴頼むさつさと口説かねば

切腹のやうに南瓜を切つてゐる

会社やめたしやめたしやめたし落花飛花

だんじりのてつぺんにゐて勃つてゐる




「後にも先にも、最後まで読んで「うわ~っ!」と叫んでから、ちょっと待てよそんな……と読み返す絵本はないような気がする。こどもよりも、大人のほうが響くかもしれない。文章でも、音楽でも、じゃんけんでも、トーストでも、だれかと関わっていく私たち全員に関係がある絵本。」





磯貝依里の選書



「やわらかな湯気越しに世界を眺めるような、美しく淡いエッセイ集。朝吹真理子のエッセイは読む者の五感を鮮やかに刺激し、それでいて気怠さもある。幼い頃、中高生の頃、そして現在をめぐる彼女の世界。気取らない(けれども同時に流麗な)文章がたのしく、これからもずっとずっとそばに置いて読んでゆきたい。」




「ひつとめのエッセイを読んで彼女の痛みを知り、その痛みを契機として連なってゆく沖縄のひとびとの生の光景を最後まで一気に読み、打ちのめされ、愕然とした。彼女の個としての交換不可能な痛みは、大きな世界のわたしたちとも共有可能な痛みだ。この本を読んだことによって少しだけ心がつよくなれたわたしは、いまのこの世界に何か役立てるだろうか、と思わずにはいられなかった。」






生湯葉シホの選書



「さまざまな事情で部屋から出たくない人、出られなくなった人たちの物語を集めたアンソロジーです。外に出るのが好きな人の気持ちが私にはずっとわからないのですが、この本に出てくる人たち(かたくなに鬼退治に行こうとしない桃太郎や、水槽に置き去りにされて自分の足を食べはじめてしまう蛸、病気になった萩原朔太郎など)の言うことはぜんぶわかる。全員と文通したくなりました。」




「1976年の初夏、ブローティガンが東京を訪れていたひと月のあいだに書かれた詩日記です。日本でもまあまあ本売れてるはずなのになんでこんなひとりぼっちなんだろうとか、同じバーに知ってる映画監督がいるけどお互い目合わせないようにしてるっぽいなとか、本当になにげない瞬間がこまごまと綴られていて、ついさっき書かれたみたいに感じます。読んでいるとすごく寂しくなるけど、寂しいほうが自然なんだよなというのを思い出させてくれる本。」




「がまくんとかえるくん(『ふたりはともだち』シリーズ)で有名なローベルの絵本。ひとり暮らしのふくろうくんを主人公にした短編集です。部屋にひとりでいることにこんなにも貫禄がある人、私はふくろうくん以外に知らないです。ぜんぶすごいけれど、『こんもり おやま』というお話のすごみが群を抜いている。読んでて不安になってきたら、ふくろうくんと同じ催眠術を自分にかけて読みとおしてください。」

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